WCAG 2.2が音声と動画に求める要件
WCAGは、音声のみのコンテンツには文字起こし、動画には同期したキャプション、そして音声だけでは伝わらない映像には音声解説を求めています。
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は、World Wide Web Consortium(W3C)が公開しているデジタルアクセシビリティの国際標準です。現行版のWCAG 2.2は、2023年10月にW3C勧告となりました。
WCAGは、検証可能な達成基準を3つの適合レベルで定めています。A(最低限のレベル)、AA(多くの法律や方針が目標とするレベル)、AAA(より高度なレベル)です。各バージョンは前のバージョンを土台にしているため、WCAG 2.2に適合するコンテンツはWCAG 2.1と2.0にも適合します。
音声と動画は、ガイドライン1.2「時間依存メディア」に該当します。その達成基準はWCAG 2.0から2.2まで変わっていないため、法律や契約がどのバージョンを引用していても、メディアに関する要件は同じです。以下では、W3Cの仕様に基づいて各達成基準の要件を説明します。
レベルA:適合をうたうための最低条件
1.2.1 音声のみ及び映像のみ(収録済)。 ポッドキャストのエピソードなど、収録済みの音声のみのコンテンツには、同等の情報を伝えるテキストの文字起こしが必要です。無音の製品デモなど、収録済みの映像のみのコンテンツには、テキストによる代替か、画面上の出来事を説明する音声トラックのどちらかが必要です。
1.2.2 キャプション(収録済)。 音声を含む収録済みの動画には、すべて同期したキャプションが必要です。プレーヤーの横に置いた文字起こしでは足りず、発話に合わせてタイミングを付け、セリフと意味のある音情報を伝えるキャプションでなければなりません。唯一の例外は、メディア自体がテキストの代替であり、その旨が明示されている場合です。
1.2.3 音声解説、又はメディアに対する代替(収録済)。 収録済みの動画には、音声解説トラックか、完全なメディアに対する代替のどちらかが必要です。後者は、セリフと重要な映像情報の両方を記した解説付き文字起こしのことです。レベルAでは、十分に詳しい解説付き文字起こしがあれば、それだけでこの達成基準を満たします。
レベルAA:多くの法律が求める水準
1.2.4 キャプション(ライブ)。 ウェビナーやライブ配信など、同期したメディアに含まれるライブ音声には、リアルタイムで作成するキャプションが必要です。通常はライブキャプションの担当者やCART事業者が対応します。
1.2.5 音声解説(収録済)。 レベルAAでは、映像コンテンツに対して文字起こしによる代替だけでは不十分になります。収録済みの動画には、セリフの合間に重要な映像情報をナレーションで伝える音声解説トラックが必要です。画面上で起きている意味のある出来事を音声がすでにすべて伝えている場合は、別のトラックは不要です。
レベルAAA:より高度なアクセシビリティ
レベルAAAでは、手話通訳(1.2.6)、セリフの合間が短くナレーションを入れられない場合の拡張音声解説(1.2.7)、収録済みのすべての同期したメディアに対する完全なメディア代替(1.2.8)、ライブの音声のみのコンテンツに対するリアルタイムのテキスト代替(1.2.9)が加わります。
サイト全体でAAAを目指す組織は多くありませんが、1.2.8は押さえておく価値があります。すべての動画に完全な解説付き文字起こしを添えて公開するのが理想的な形であり、AAAのメディア基準のなかで、自動化によって低コストで対応できるのはこの基準だけです。











